LINEを超えて世界とつながるなら、次はWhatsApp?

LINEを超えて世界とつながるなら、次はWhatsApp?

日本国内ではメッセージアプリといえば「LINE」が圧倒的ですが、世界に目を向けると話は違います。仮に「LINEの次に世界とつながるツール」を挙げるとしたら、それは間違いなくWhatsApp(ワッツアップ)でしょう。

マウンテンフィールドではこれまでLINE公式アカウントの開発支援を強みにしてきましたが、今後はこのWhatsAppにも注目し、サービス展開を視野に入れ始めています。この記事では、WhatsAppの世界的なポジションやLINEとの違い、ビジネス活用のポイントなどをデータと共にご紹介します。「なぜ今、WhatsAppが重要なのか」を読み解き、皆様の次の一手の参考にしてください。

目次

WhatsAppの世界的な立ち位置

まず、WhatsAppが世界でどれほど使われているか見てみましょう。WhatsAppは世界最大のメッセージングアプリであり、2020年時点で利用者数がすでに20億人を超えていまし。その後も増加を続けており、現在ではそれを大きく上回ると推定されます。

WhatsAppはサービス提供地域が180ヶ国以上、対応言語も60に及ぶグローバルなプラットフォームです​。例えばインドで数億人、ブラジルでも億を超えるユーザーがいるなど、その普及規模は桁違いです​。一方で、日本はその数少ない例外であり、国内では後述するようにLINEがトップシェアを占めています。

LINEとWhatsAppの比較

では、日本でおなじみのLINEとWhatsAppは具体的に何が違うのでしょうか。ユーザー層から機能、ビジネスでの使われ方まで、いくつかの観点で比較してみます。

  • ユーザー規模・利用地域:
    先述の通り、WhatsAppの利用者数は世界全体で20〜30億人規模と圧倒的で、インドやブラジル、欧州、アフリカまで幅広く浸透しています。これに対し、LINEの月間利用者数は約2億人程度とされ、その大半は日本・タイ・台湾といった東アジアの限られた地域に集中しています。言わばWhatsAppはグローバル標準、LINEはローカルヒーローといった位置付けです。
  • 機能・UI
    両者ともテキストメッセージや音声通話・ビデオ通話、写真・動画共有など基本機能は共通しています。しかし、LINEは多機能プラットフォームとして進化しており、タイムライン機能や豊富なスタンプ、キャッシュレス決済(LINE Pay)まで備えています。一方、WhatsAppはシンプルさを重視しており、追加機能はStatus(24時間で消えるストーリー投稿)程度に留まります。LINEほどの派手なスタンプ文化やタイムライン投稿はなく、基本的には電話番号さえ知っていれば誰とでもすぐやりとりできる純粋なメッセージングツールとして支持されています。
  • ビジネスでの活用:
    企業利用の面では、LINEは主にマーケティング用途で普及しています。企業はLINE公式アカウントを通じて一斉配信やクーポン提供が可能です。一方WhatsAppでは、ユーザーが企業のWhatsApp番号にメッセージを送ってカスタマーサポートや通知を受ける使われ方が一般的です。つまり、LINEが「消費者への情報発信」に長けるのに対し、WhatsAppは「顧客との双方向コミュニケーション」に適していると言えます。
  • APIと外部連携
    開発者向け視点では、LINEにはMessaging APIやLIFFといった公式プラットフォームが整備されており、チャットボットやミニアプリを比較的容易に構築できます。WhatsAppにもWhatsApp Business API(後述)が提供されていますが、利用にはMeta社への申請やテンプレートメッセージの承認など一定のプロセスが必要です。その分、世界中の様々な業務システム(CRMや顧客サポートツール)と連携しやすく、グローバル企業の基幹コミュニケーションに組み込まれています。

WhatsApp BusinessとBusiness APIの違い

個人向けWhatsAppとは別に、企業向けには「WhatsApp Business」と「WhatsApp Business API(WhatsApp Business Platform)」の2種類があります。目的や活用シーンが異なるため、その違いを押さえておきましょう。

  • WhatsApp Business(アプリ版):
    中小事業者向けの無料アプリで、2018年に提供開始されました​l。通常のWhatsAppに店舗プロフィール自動応答メッセージなどビジネス機能を追加したイメージで、スマホ上で顧客と1対1のチャット対応を行う用途に適しています。初年度で全世界500万以上の企業アカウントが作成されるなど、中小ビジネスを中心に広がりを見せました。現在までの累計ダウンロード数は3億回以上に達しています​。
  • WhatsApp Business API(プラットフォーム版)
    こちらはより大企業向けのソリューションです。専用のアプリは存在せず、各社のシステムとWhatsAppサーバーを直接つないで利用します。このAPIを使うことで、自社のCRMや顧客対応システムとWhatsAppを統合し、チャットボットによる自動応答や注文・配送通知などを大規模に運用できます。なお利用にはユーザーからの同意取得や定型メッセージ承認などいくつかガイドライン上の制約があります。

WhatsAppが海外展開に強い理由

では、なぜ海外市場攻略にWhatsAppが重要なのでしょうか。その背景には、WhatsAppというプラットフォーム自体が持ついくつかの強みがあります。

  • 圧倒的な利用率と開封率: ある調査ではWhatsApp利用者の83%が毎日アプリを開いており​、メッセージの開封率(既読率)は約98%にも達すると報告されています。これはメール等と比べ格段に高く、重要なお知らせを確実に届けたい場合にWhatsAppが非常に有効なチャネルであることを示しています。
  • 多言語・多文化への対応力: WhatsAppは60以上の言語で利用可能なため、ユーザーは自分の母語で違和感なく使えます。インドでヒンディー語、南米でスペイン語、中東でアラビア語…というように世界中の多様な言語コミュニティで共通の基盤として機能しています。日本企業が海外の顧客やスタッフとやり取りする際にも、互いに慣れ親しんだツールとしてコミュニケーションのハードルを下げてくれるでしょう。
  • 主要市場での圧倒的シェア: 東南アジア・南アジア、アフリカ、中南米のほとんどの国で、WhatsAppは事実上の標準コミュニケーション手段です。例えばインドネシアではインターネットユーザーの約87%がWhatsAppを利用しており、ケニアやナイジェリアではその割合が90%以上にも達します。新興国から先進国まで幅広く浸透しているため、日本企業がこれら地域に進出する際にはまずWhatsAppを導入することが現地適応への第一歩と言えるほどです。

日本国内のWhatsApp利用現状と可能性

このように世界では圧倒的な存在感を誇るWhatsAppですが、日本国内での利用率は現状ごくわずかです。2022年の調査では、日本のインターネットユーザーでWhatsAppを月に1回以上使う人は約1.8%に過ぎず、同調査でのLINE利用率82.5%と比べると極めて低い数値でした。事実、一般の日本人同士の連絡手段としてはLINEが独占的な地位にあり、WhatsAppはほとんど使われていません。

しかし裏を返せば、これは日本市場におけるWhatsAppがブルーオーシャンであることを意味します。現時点で国内企業でWhatsApp活用に乗り出している例は少なく、競合が少ない分野です。また、日本国内にいる外国人顧客や海外からの旅行者との連絡手段としてもWhatsAppは有用です。例えば、外国人顧客・旅行者対応や海外拠点との社内連絡手段として、相手が慣れたWhatsAppを使えばスムーズにコミュニケーションできます。まだ利用者こそ少ないものの、「海外とつながるツール」としてWhatsAppには大きな可能性が秘められていると言えるでしょう。

マウンテンフィールドのWhatsApp連携開発への展望

当社はこれまでLINE公式アカウントの構築支援やチャットボット開発を手掛けてきましたが、今後はその経験を活かしてWhatsApp連携開発にも踏み出していきます。国内ではWhatsApp活用事例が少なく、当社も実績はこれからですが、それだけに新しい価値を提供できるチャンスと捉えています。

実際、LINEのMessaging APIで培ったチャットボット設計のノウハウや、システム連携の経験はWhatsAppでも応用可能です。当社なら「日本国内はLINE、海外はWhatsApp」という両軸のコミュニケーション戦略をワンストップで支援できます。世界とつながるチャネル構築に、ぜひご期待ください。

まとめ:LINEとWhatsAppの両輪でグローバルな“日常DX”を実現

LINEとWhatsApp、それぞれ強みを持つコミュニケーション基盤を上手に使い分ければ、国境や文化の壁を越えたスムーズな顧客体験・業務効率化が可能になるでしょう。当社もその実現を全力でお手伝いいたします。ぜひ次の一手として、WhatsApp連携をご検討ください。

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